24.憲法改正 24−1 憲法改正の手続       96条  この憲法の改正は、各議員の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその   承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行なわれる投票にお     いて、その過半数の賛成を必要とする。    憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ち     にこれを公布する。  (1)国会の発議    *憲法改正発案権は、内閣にも認められるか。B−     →肯定説(通説)r.国会の発議は発案権者が議員に限られることを当然には意味しない。内閣の発案権を認めても        国会審議の自主性は損なわれない。法律案提出の場合と同様に肯定しうる。   否定説 r.憲法改正は、その重要性及び国民主権原理から見て、法律の発案権とは同視しえない。96条が国民          投票を要求しているのは、改正権の発案権を国民代表としての国会議員の手に留保する趣旨だと見る         べきである。    *「総議員」の意味→法定議員数である。r.厳格に解するべきである。  (2)国民の承認→投票総数の過半数と解する。  (3)天皇の公布 24−2 憲法改正の限界      *憲法改正に限界はあるか。B+   →法実証主義的限界説 r.憲法制定権力と改正権とは峻別されるが、改正権は自己の根拠となるところの、憲法制定        権力の根本的決断としての「憲法」を改変する法的能力を持たない。    自然法論的限界説 r.実体憲法には自然法が上位し、憲法をも含めての全実体法の効力の有無は自然法への適合・            不適合によって決せられ、改正規定による憲法改正の授権も自然法上の制約がある。    法実証主義的無限界説 r.憲法典中の規定は全て同一の形式的効力を有しており、憲法が改正を認める以上、改正      可能なものと不可能なものとの区別はありえない。    主権全能論的無限界説 r.憲法改正権は憲法制定権力と同質であり、しかも制憲権は万能であるから、制定された      憲法の枠には拘束されない。  *限界説に立って、憲法改正国民投票制を廃止することは可能か。B   →不可能である。r.この制度は国民の制憲権の思想を端的に具体化したものであり、これを廃止することは国民主権      の原理を揺るがす意味を持つ。 24−3 憲法の変遷      (1)憲法変遷の意味    法社会学的意義の変遷…憲法の規範内容と現実の憲法状態との間に「ずれ」が生じていることを客観的事実として記述         する言葉。    法解釈学的意義の変遷…そのような「ずれ」を前提とした上で、元の規範内容に変わって新しい憲法規範が成立してい        ることを指す言葉。  (2)法解釈学的意義の変遷の肯否    *法解釈学的意義の憲法の変遷が認められるか。B     →肯定説:一定の要件が満たされた場合には、違憲の憲法現実が法的性格を帯び、憲法規範を改廃する効力を持つ。   否定説(通説):憲法に適合しない憲法実例は、硬性憲法及び憲法の最高法規性からして、違憲の事実にすぎない。     r.法には国民を拘束し、国民に遵守を要求する「妥当性」の要素と、現実に守られていなければならないと    する「実効性」の要素がある。憲法変遷を肯定する説は、実効性が失われた憲法規範はもはや法とは言え   ないという点を重視するが、現実に遵守されていなくても妥当性の要素は失われないため将来国民の意識    の変化によって、仮死の状態にあった憲法規定が息を吹きかえすことはありうる。